歌の歳時記


10月 稲刈り


稲・雀・おにぎり


おにぎり



袖も袂も露にはぬれて 夜明けがたから苅る稲穂
                都々逸(どどいつ) 山本将茂

 「山本将茂」(生没年不明)。明治期の歌人。

 「都々逸」江戸期から流行した「七・七・七・五」の定型詩。
三味線の旋律に合わせ、艶・風刺・滑稽・洒落などが歌われた。作者不詳のものが多い。
古典落語にも多く登場し、長屋の熊さん・八っつあんも小唄は苦手でも都々逸は好きだったりする。

 「稲」「稲刈」10月の季語。「雀の子」は巣立ちを意味して4月の季語。

 日本の水稲耕作は弥生時代に朝鮮半島から伝わった、とされていたが稲のDNA解析などから、
約三千年前の縄文後期に中国の長江流域から九州北部に直接伝わり、日本全国に広がった、
というのが有力な説になっている。
 当時伝わった古代米は黒米や赤米に近いものだったらしい。
今もお供えや祝い事等に赤飯をつくるのは、その頃の赤い飯の名残りだとする説がある。

 「おこわ」強飯(こわいい・こわめし)ともいう。江戸時代までは米を蒸して飯にしたものを強飯といい、
水を加えて柔らかく煮たもの、すなわち炊(かし)ぎ飯を弱飯(ひめ)または姫飯(ひめいい)といっていた。
炊飯が一般化するようになってからは、これをご飯(はん)または飯(めし)といい、
反対に糯米(もちごめ)を蒸したものを強飯またはおこわというようになった。
米を蒸すのが通常の加熱法であった時代には、糯米でも粳米(うるちまい)でも強飯といったが、
炊く方法が一般的になってからは蒸したものだけを強飯というようになり、
さらに糯米を蒸さずに炊いたものを炊きおこわといっている。

 日本最初の駅弁は、明治期に宇都宮駅で販売された「ごま塩のおむすび」とされている。
 「おにぎり」「おむすび」「握り飯」など呼び方は色々だが、
現在は日本全国の9割近くが「おにぎり」派で「おむすび」は少数派となっている。
元々は関西地区で「おにぎり」関東方面は「おむすび」が多かったよう。
語源や区分けの方法に、三角と俵型の形で分けたり、海苔の違いだったり、中身の具材の違いとか、
江戸時代以前と以降と分けたり諸説あるが、地方・時代によって意見がまちまちで定説はない。
 明治以降のハワイやブラジルなどの移民の方々の世界では「MUSUBI」と呼ぶのが一般的らしい。

 「五穀」 5つの主要な穀物。時代や地域・宗教によって種類が変わる。
主な物に、米・麦・栗・豆(大豆や小豆)・粟(あわ)・黍(きび)・胡麻・芥子(けし)・麻などがある。
米は別格とし米を含まない例もある。




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